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イエづくりコラム

第17回 家事動線(洗濯と室内干しを考える)

  • 2014.12.10
  • 北村 佳巳

核家族化が進み、ご夫婦共働きの世帯や単身世帯が多くなった昨今では、花粉対策は勿論のこと、帰宅後の夜の洗濯事情や防犯の問題なども相まって、洗濯物を室内干しするお宅が本当に多くなりましたね。そこで如何に洗濯動線を快適に、そして限られた室内空間のなかで綺麗に収めるかが大きな課題となっています。

家事動線の優先ポイント

とある暮らし方アンケートで「家事をストレスなくするための計画で家事動線上のポイントは何か?」という問いに対して

一位 「キッチン⇔洗面所(洗濯機)の動線」
二位 「洗面所⇔物干し場 の動線」

となったそうです。やはり多くの方が家事の中で、「洗濯と干す作業」が何よりも気がかりということがこれでよく分かりますね。どちらも調理や片づけをしながらの「ながら」作業がしやすいことや、往復頻度が多いことに加えて、洗濯物を運ぶ負担なども、現状の暮らしで大きなストレスになっているのではないかと思います。
どうしても一般的な家づくりでは、リビングの広さやデザインなど「ハレ」の部分にエネルギーを注ぎがちで、この手の家事動線は「何とかなるよ」と施主さん自ら言い聞かせるようにして、優先順位が落ちていくことが少なくありません。でも本当は地味とも言える裏方の計画密度を上げることが、家づくりの成功の鍵であることを是非お忘れなく。そこを疎かにすると素敵なデザインの空間が出来たとしても、住み始めた途端にリビング廻りに洗濯物がぶらさがった「物干しの森」と化して、どうにも落ち着きのない暮らしになりかねません(笑)。

干場をどこに置くか

さて、まずは効率の良い家事動線と、スペースの確保ということになりますが、大切なのは見た目にもスマートな配置計画が不可欠です。またこの洗濯に関わる家事動線は、後から間に合わせで成り立つような簡単なものではなく、全体のプランニングを左右するような重要なポイントです。そこで何よりも大切なのが、皆さんの日々の行動を見返して、しっかりと自身のライフスタイルを把握すること。そうして改善したい点と理想のスタイルがどのようなものかを見出すことが出来れば、自分らしい流れるような快適動線が見えてくると思います。
そうして動線が見えてきたら、いよいよ物干し場のスペースをどう創るかということになります。洗濯機とキッチンにも近く、それでいて陽当りのよいサンルームのような窓際などがベストですが、そのような特等席を用意するのは結構、覚悟がいりますよね(笑)。 そこで一番シンプルなものは洗濯機が置かれていることの多い洗面所を広くして竿を吊るしているパターン。ですが、そこから洗濯室や物干し室というように仕切ることが出来ればすっきりと出来るし、バックヤードとしても重宝するのでお勧めです。
それでも洗濯機廻りでうまくスペースが取れないような場合は、主動線から外れた場所や吹き抜け廻りに確保していく。そこで具体例を少しご紹介してみたいと思います。

物干しデッキへの出いれがしやすく衣類などの収納も用意されている効率的な洗面所

写真①
この事例は二階にある洗面・脱衣室に併設して、洗濯置き場に室内干し場とアイロンコーナーを配しています。そのまま外の物干しデッキへの出し入れも易く、衣類などの収納も充分に用意してあるので大変効率的に作業を行えます。洗面脱衣場とは目線を遮るカーテンで仕切れるようになっている。

収納用の物干しワイヤーで見た目すっきり、窓際で陽が当たってよく乾く物干しスペース

写真②
南側のベランダ内につけた吹き抜け脇にあるキャットウォークを室内干しスペースにしているので、室内外の出し入れもこの上なく快適。生活の主動線上から外れているので邪魔にはならず、床がすのこ状なので空気が淀むこともなく、また窓際なので陽が当たって乾きやすい。竿ではなく、収納式の物干しワイヤーを用いているので、普段はすっきりとしている。

キッチン裏手の洗面所からベランダに通じる裏動線上の通路に物干しスペースを設置突然の来客にも他の場所から見えない場所で安心の物干しスペース

写真③・④
キッチン裏手の洗面所からベランダに通じる裏動線上に物干しスペースを設けた例。隣の洗面室から洗濯物を出した際の仮干しにも使え、他の場所からも見えない場所なので突然の来客にも安心。右脇の収納には多くの物干し用品がストックしてあるのでワンストップで作業をこなせる。

収納式ワイヤーを2本設置して大量の洗濯物にも対応できる、家事室兼予備室のようなスペース

写真⑤
家事室兼予備室のようなスペースに設置した例。キッチンと洗濯洗面室の脇に設けたタタミスペースに③と同様の収納式ワイヤーを二本設置して、大量の洗濯物にも対応している。物干し使用時には入口を仕切って隠せるようにしてあり、洗濯物をたたむ際には床が畳なのはとても重宝します。

このように、住まい手の長年親しんだ作業の癖やお好みなどで形状は様々であって、これが正解というものはありません。技術の日進月歩で家電品が全てまかなえる時が既に近いかもしれませんが、やはりどこまでいってもお天道様の下で風に吹かれて乾かすことの気持ちよさに勝るものはないと思いますので、その暮らし方の延長線上で家事の喜びを感じて生活してもらいたいなと考えています。
皆さんそれぞれの行動パターンに合わせ、限りなくストレスのない動線を作り上げることで、時間に追われる日々のなかでも家で過ごす有意義な時と空間を味わえるよう、洗濯と物干し作業がつい楽しくなるような家を目指しましょうね(笑)

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