北村建築工房

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イエづくりコラム

第6回 断熱

  • 2014.12.10
  • 北村 佳巳

今回は、家づくりの際に重要なポイントと言われる断熱についてお話ししたいと思います。断熱というカテゴリを語る時には、どうしても数字やデータと言った小難しいマニアックな話になりがち。それに増して素材や形状・工法も様々で、複雑に入り混じっている世界ですので、整理してお伝えするだけでも紙面が何倍も必要になりそうなので・・(笑)、ここではまずシンプルに「断熱をしっかりと考える事でどんなメリットが生まれるのか」をお話したいと思います。

さて、まず断熱する目的って何でしょうか?こう聞かれた皆さんは「冬暖かく、夏涼しく暮らすために必要だから・・」と、そう答える人が多いはず、勿論大正解です(笑)。ではそれを実現するために何をすればよいのかを考えてみましょう。

性能の高い断熱材を使えば万全か?

必ずしも性能の高い断熱材を使えば万全というわけではない

今まさに世間を賑わしている断熱材の不足問題。住宅エコポイントや長期優良住宅といった次世代省エネ基準に対応させる為に、断熱材への注文が殺到して供給不足となっているのをニュースで知った方も多いと思います。そこで初めて断熱材に興味をもたれたという方もおられるのではないでしょうか。
断熱性の高い家を造るために、まず皆さんが最初に考えるのは、「屋根や外壁・床といった外廻りに性能の高い断熱材を付けること」だと思います。その性能については、どの程度熱を通したり止めたりできるかと言った数値で表されている性能表を見れば、同じ厚みとした場合の性能比較が出来るわけです。

それを住宅メーカーや工務店は「当社では高性能の断熱材の〇〇を採用」というように各社の家づくりに対する姿勢の特徴として宣伝している感があります。
ただ、ここで注意して欲しいのですが、家の断熱性能は「断熱材」だけで決まるものではないということです。
実は断熱性能について断熱材自体のほかに重要なポイントがまだ二つあります。

断熱トライアングルのバランスが大事

それは「気密性」と「開口部」です。先の「断熱材」と合わせて、断熱はこのトライアングルの構図が鍵になります。特に断熱材と気密性は常に一緒に考えることが大切で、幾ら断熱材の性能が高くても、隙間が多ければ十分な能力を発揮できません。それどころか壁内等で結露を発生させるリスクを生む事になり、結果として構造を腐らせたりカビを発生させたりと、家の寿命や住まい手の健康を脅かす懸念も出てきます。そのため近年は気密を取る為の対策が色々考えられてきました。
ですが実際の住宅では、人の手によるモノづくり。材料試験場での部分的な実験データ通りとは言い切れません。そこで、このような目に見えない家の性能を、数値として判断できるようにしたのが、次に上げる指針です。

「Q値 (熱損失係数)」
家全体から逃げるエネルギー量。いわゆる家そのものの断熱性能を比較する基準値。
「C値 (相当隙間面積)」
家全体での隙間の面積を求めるための気密性能を表す数値。

この二つの数値が、家の断熱性能に大きく影響します。具体的な数値について今回は省かせてもらいますが、Q値は机上の計算でも算出できるもので、C値は家の完成時に専用の計測器を室内に置いて試験をしなければ出てこない数値です。実はこの辺りの性能表示については以前は大手住宅メーカーなどが得意な分野でしたが、最近は家の性能が高まるのに比例して計測業者も増え、費用的にも手頃になりつつあります。会社の規模に限らずデータを取る工務店なども増えてきていますので、ご興味あるかたは造り手に一度相談してみてください。

そして、最後に残ったもうひとつの重要なポイントが「開口部」です。

断熱トライアングルのバランスを目指して快適な室内環境を作る

例えば平成4年に出された新省エネ基準(住宅性能表示の等級3)程度の住宅では、夏の日射を含めた熱量のうち7割が開口部から出入りし、冬は約5割が室内から逃げて行くというデータもあるほど、開口部は断熱性能を左右するポイントなのです。ですから、ある程度のレベルまで断熱材の性能が達したら、開口部の対策をすることが家全体の断熱性能を底上げにつながることになります。
現在、開口部の主流はペアガラスを入れたアルミサッシですが、そのワンランク上となるLow-eガラス(遮熱・断熱タイプがあります)もこの十年程で随分と普及してきました。また、サッシの素材もアルミよりも熱が伝わりにくい樹脂や木を本体に使ったものもあり、ガラスではトリプルガラス・真空ガラス等も用いられるようになって、以前に比べて格段に性能が上がってきました。

ただ残念ながら、それでもまだ開口部は弱点となりますので、室内外にもう一層の対策をすることが効果的です。例えば、夏には日射対策の遮蔽装置(軒・簾・雨戸)、冬には断熱効果のある部材(断熱雨戸・厚手のカーテン、スクリーン)を配することがとても大切なのです。このような対策は、熱の出入りだけでなく、日射ムラや冷え込み等の不快感をなくす等の効果も期待できます。勿論、これらは勝手に機能してくれるわけではなく、住まい手のひと手間で、数字には表れない暮らしやすさにもつながるはずです。

以上のように「断熱材」・「気密性」・「開口部」というこの三つのトライアングルがバランスよく揃う事が、家全体の断熱性能を高め、快適な室内環境をつくる基になるのです。

体感温度の重要性

さて、しっかりと断熱バランスのとれた家はどんなメリットがあるのかと言う話になりますが、熱量の出入りが少なくなることで冷房や暖房などのランニングコストが減ることはとても嬉しい話ですね。実は少ない熱量で満足できるのにはもう一つ要因があります。それは「体感温度」というものです。人が暑い寒いと感じるのには、気温や湿度だけが影響するわけでなく、周囲の壁面などから伝わる「輻射熱」というものが実は体感の半分を占めているのです。

ヒートショックや体感温度が与える影響は大きい

この輻射熱とは材料の持つ熱が発する温度のことで、人は気温と輻射熱から影響を受けているので、室温が低めであっても室内の表面がほんのり暖まっているだけで寒く感じないというわけです。分かりやすい例では床暖房がその強力な輻射装置です。この輻射熱というものが必要以上に熱源を使わずに、快適に暮らせる理由のひとつでもあります。
また冬の場合、暖められた室内表面に囲まれ、室内の温度ムラが少ない家に暮らせることは、大変な社会問題となっている家庭内事故死のリスクを減らせることにもつながります。実は室内での温度差が原因で起こるヒートショックによる家庭内事故死は交通事故死よりも多いということをご存知でしょうか?その怖いヒートショックを無くすのが、断熱性能の高い住まいなのです。

快適な暮らしにはキッチンやお風呂などの設備を充実させるのも大切ですが、家の寿命や家族の健康を第一に考えた場合、高い断熱性能は譲れないポイントではないでしょうか?

さて、断熱の重要性をお伝えしたところで次回は「断熱の工法と素材」についてお話したいと思います。

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