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イエづくりコラム

第8回 パッシブデザイン

  • 2014.12.10
  • 北村 佳巳

前回のテーマ「断熱」でも「省エネを意識した暮らし方」に触れましたが、今回はより具体的にその生活を実践するための家づくりを考えてみたいと思います。家をパッシブデザインするとはどういうものかが分かると、皆さんの家づくりのポイントも少し変ってくるかもしれません。

パッシブデザインとは?

まず「パッシブ」とは受動的という意味で、対義語は「アクティブ」(能動的)となります。
アクティブデザインは積極的に機械設備を使って快適性を実現するというもので、太陽光発電や給湯システム、燃料電池・蓄電池などが代表例です。
それとは逆に、パッシブデザインは恩恵を受けるという表現がふさわしいと思えるような、自然に存在するエネルギーを無理なく有効利用するというものです。具体的には太陽熱や地熱・風力・雨水利用などを先人の知恵を生かしながら最大限利用し、またコントロールして快適性を生み出します。
船で例えると、風力を帆で受け止めて動力源にして進むヨットがパッシブとするなら、アクティブはガソリンを燃焼して思いの通りに進むモーターボートと言ったところです。

勿論、どちらのデザインも省エネという点では大きな貢献度がありますが、今回はどちらが優れているとかの議論はさておき(笑)、このコラムではハードな設備系のお話しよりも概念的なお話しを優先したいと思ましたので「パッシブデザイン」を取り上げることにしました。

何故パッシブが求められるか?

ゴーヤやヘチマといった植物で緑のカーテンを作り「心地よさ」を作り出します

でも何故パッシブなのでしょうか?当然パッシブデザインに取り組めば環境保護や省エネにつながります。それも大きな目的の一つですが、それと同じぐらいに大切なのは人が本能的に欲する「心地良さ」を実現することだと思います。「エアコンの温冷風」よりも「自然涼風」や「薪ストーブの温もり」の方が好きと言う人が多いはずです。

夏に向けてゴーヤやヘチマを使った「緑のカーテン」を始められた方も多いかと思います。目的は省エネ対策として窓から入る夏の日射を遮蔽するためですが、同じような効果を生む既製品があるにも関わらず、わざわざ手間がかかる対策をするのは何故でしょう。自然のエネルギーの恩恵を受けながらその自然と共生して暮らすことの心地良さは、理屈抜きで快適な暮らしなのかもしれませんね。

パッシブデザインいろいろ

実はパッシブデザインは数値とは縁のないラフな扱いをされがちですが、我々プロの造り手からしても実はとても奥が深いものです。まあ具体的な計画の際は我々にお任せ頂くとして、皆さんは決して構える必要はありません。ここで皆さんが自分たちの家に取り入れやすいパッシブデザインの代表的なものをいくつかご紹介します。

太陽の熱を利用するパッシブソーラーシステム

●太陽の熱を利用する(冬場)

屋根や壁面で集熱した空気を室内に取り込んで暖める仕組み。(一般的には空気集熱型のパッシブソーラーシステムと呼ばれています。)
また意図して南面の窓から冬日を取り込み、コンクリート土間等の蓄熱性の高い部材に直接蓄熱させるなど。(これらの仕組みはダイレクトゲインと呼ばれます)

●太陽の光・熱を遮る(夏場)

軒や庇・ルーバーなどをつけて夏場の陽射しを室内に入れないようにする。
シェードやすだれ、緑のカーテン等の設置が可能な外部形状を考える。
ただ、軒などは建物の斜線制限や建ぺい率等の理由により、また庇などは予算調整により無くなりがちです。部屋の広さも大事ですが、パッシブな意識をもって良い着地点を見つける努力もほしいところです。

●自然の風を利用する

地理的要因などにより独特の流れや強さを持っているのがその土地に吹く風です。気象データや土地勘を生かしながら風の流れを考え、「通りやすく捕らえやすい」計画を行います。
たとえ密集した宅地だとしても、袖壁や縦滑り出し窓などを風を受ける帆のように用いてダイレクトに風を取り込む手法(ウィンドウキャッチャーと呼びます)や、屋根や窓の形状で気圧差を利用した採風の仕組みを造るなど、建物の形状で室内に自然の風を誘導することも可能です。もちろん平面計画としても淀みなく風が抜ける間取りが大前提ではありますが。

●地中熱(地熱)を利用する

実は今まで一番未活用だったのがこの地熱です。太陽や風といった不安定な自然エネルギーに比べて、一年中非常に安定したエネルギーと言えます。簡単に例では「洞窟」でしょうか?一年を通して温度差が少ないことから夏はひんやりとしていて逆に冬は温かく感じるのです。季節ごとの外気温とこの地中温度の差を利用して、冷暖房に利用するシステムも多く出てきています。

自然の風を取り入れやすいようにした窓

●土の庭をつくり、樹を植える

家の廻りをコンクリートで囲ってしまうと、蓄熱された分が夜になり暑い風となって室内に入り込むことがあります。その上、ヒートアイランドの助長にもなりかねません。可能ならば出来るだけ土の庭を造り、大きな落葉樹を南や西側に植えてみる。夏は生い茂った葉が陽射しを遮りながら風を通してくれますし、冬には葉が落ちて燦々と温かい陽射しが室内に差し込みます。要は樹を植えるだけの話ですが、結果として皆さんがよくご存じの「緑のカーテン」の豪華版だと考えて下さい。室内から木々が見えるのは癒されるだけでなく、本当に豊かな気分にもさせてくれますよ。

●その他

快適性やエコ意識としては屋上緑化や雨水利用などもあります。屋上緑化の土や草木はとても優れた断熱効果を生み出し、ヒートアイランド対策にも有効です。雨水利用では雨樋からタンクに貯めて庭への水撒きや非常用水に役立ちます。

パッシブデザインと共に暮らす

いくつかの事例をお話ししてきましたが、これらパッシブデザインは、機械に頼りすぎず少ないエネルギーで暮らすための自然の力を借りるアイデアです。当然、日々や時間帯によってその恩恵も大きく左右されます。だからこそ自然の恵みを最大限に生かすために、皆さんが「どう暮らすか」がとても大切になってくるのです。

パッシブデザインを取り入れた一軒家でエコな暮らしを

スイッチ一つで快適性が確保されるシステムと比べると、パッシブな家で効率良く自然エネルギーを生かし、それをコントロールするためには、我が家の特性や効果をつかんで状況に応じ小まめに行動する「ひと手間」が不可欠です。

でもその小さな努力が、エコな暮らしを可能にして自然と上手く寄り添って暮しているという実感を持てるのではないでしょうか?是非皆さんが家づくりを考える際は、間取りとか部屋の大きさばかりに注力するのではなく、この敷地で「どんな楽しいパッシブハウスが出来るかな?」と考えてみてもらえたら嬉しいですね。

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