坪単価はおいくらですか?
2022. 09. 28 | 家づくりガイド |
「そちらは坪単価いくらですか?」
お客さまからの最初の問い合わせで、よくされる質問のひとつです。
広告などで、一戸建ての建築費の目安や相場として「坪単価〇〇円」と表記されていることがあり、
坪単価は各住宅会社の価格帯を比較するには分かりやすい指標です。
しかし、いざ家を建ててみると、坪単価から割り出した建築費よりも費用が高くついてしまった、という声も多々あるもので…。
実は、坪単価には惑わされてはいけないワナが隠れています。
そもそも坪単価とは一体何なのか、注意点とともに解説していきます。
目次
- 1. 坪単価とは?
- 2. 坪単価の注意点
- 3. 延床面積が小さい家ほど、坪単価が上がる?
- 4. 家の形状によって坪単価は変わる
- 5. 仕様によっても坪単価は変わる
- 6. 判断基準
坪単価とは?
坪単価の計算は、次の計算式で求められます。
坪単価 = 建物の建築費(円) ÷ 面積(坪)
1坪あたりの建築費のことです。
※「坪」とは日本独自の「尺貫法」の単位で、1坪≒3.3㎡(畳2枚分程度)です。
例えば、建築費3000万円で30坪の家は、坪単価100万円となります。
※3000 (万円) ÷ 30 (坪) = 100 (万円/坪)
反対に、坪単価が70万円という会社があれば、30坪の家は2100万円の建築費が必要だと計算できます。
※70 (万円/坪) × 30 (坪) = 2100 (万円)
坪単価を知ることで、その会社が建てる家の大まかな価格帯を知ることができ、ご自分たちの予算に見合うか簡単に比較することできるという訳です。
ですが!
実はあまり一般的には知られていませんが、坪単価を計算するためのそもそもの「建築費」や「面積」には、明確な定義がありません。
100gあたり128円というお肉のような簡単な換算式が、坪単価には全く当てはまらないのです。
坪単価の注意点
坪単価は、一見どこの会社も同じ計算式で出されたように見えますが、決まったルールがないために、ハウスメーカー・工務店毎に考え方が異なります。
「建築費」にはどの工事を含めるのか、「面積」もどこの面積を入れるのか、何も定められていないのです。
例えば「建築費」は、建物本体以外の外構や地盤改良、後付けするエアコンやカーテン・照明、さらには仕様も低くめのものにするなど、都合よく解釈していけば、費用をいくらでも少なく見せることができます。
また、分母の「面積」は数量を増やすことで坪単価をおさえることができるので、
吹き抜けやベランダ、ロフト、玄関ポーチなど、本来の延床面積には含まれない部分を足した”施工面積”で計算すると、坪単価はみるみる下がります。
このように、示したい金額に合わせてコントロールが多少なりとも可能なので、数字をそのまま受け取って、坪単価が高いから高額な家、坪単価が低いから安価な家と判断すると、後々後悔することになりかねません。
住宅会社選びの比較基準として坪単価を確認したい場合は、
その坪単価計算には「何がどこまで含まれているか」、内訳をしっかり確認することを覚えておいてください。
延床面積が小さい家ほど、坪単価が上がる?
30坪で3000万円の家は坪単価100万円ですが、そのまま15坪の家にした場合、建築費用も比例して半分の1500万円になると思いますか?
残念ですがそうはなりません。
それは、面積を小さくしても、面積の大小に関わらず一定にかかる費用があるためです。
例えば、キッチン・バス・トイレ・玄関ドアなどの必要不可欠な設備は、面積が異なっても同じ設備をつければ費用は同じだけかかります。
面積の縮小に伴って坪単価も下げたければ、それらの設備のグレードも下げなければ効果が出ないというわけです。
いろいろなところが干渉しあって建築費用は出ているので、なかなか単純にはいかないのが坪単価です。
家の形状によって坪単価は変わる
同じ坪数の家でも、形状によって価格が変わり、坪単価も変わります。
同じ30坪の家でも、真四角の総2階建てプランのものと、凸凹した変形型のプランを比べると、凸凹プランの方が使用する木材・外壁材・屋根材が多くなり、割高になります。
また、平屋のように1階部分の面積が大きいと基礎の面積が多くなって、これも割高になる傾向です。
できるだけコストを抑えたプランにするには、総2階建てにするなど工夫することで、総予算を抑えることもできます。
仕様によっても坪単価は変わる
同じ坪数の家でも、外壁では塗り壁⇔板張り⇔ガルバリウム鋼板、内装でも珪藻土塗り⇔クロス貼りというように、仕様を変えると総額にも大きな影響がでます。
採用したい優先度の高い仕様があれば、それを踏まえた上での金額を比較する必要があります。
判断基準
繰り返しお伝えしますが、坪単価で判断するには、その金額には何が含まれているか、どういったプランを元にしているか、しっかり確認してください。
ただ、数ある住宅会社から絞り込んでいくための最初の手段として、坪単価比較は入りやすいところですが、
各社基準が違うために、あまりこの金額を深追いするのはおすすめしません。
それよりも、自分たちの予算で希望する家が実現可能かを判断するために、
「最終的に住める状態まで仕上げると、いくらでできるか」
が大事だと思います。
たとえどんぶり勘定であっても、住宅会社にご自分たちの求めるものややりたいことを話し、
詳細を理解し合うためにある程度の打合せを重ねなければいけませんが、
その上で総額いくらぐらいになりそうか、相談してみることをおすすめします。
土地の状況を見てもらえるとなお良いですね◎
また、金額相談ももちろんですが、大事な家づくりのパートナーを選ぶためですから、その造り手と価値観が合うかどうか、共感できるかどうかも大切なポイントです。
後悔のないよう、気になる会社さんには遠慮せずに問い合わせてみて頂きたいと思います。