心地よい空間へ。木製サッシをお薦めする理由。
2020. 10. 15 | 家づくりガイド |
「この家、なんかいいね」と惹かれ、中に入ったら居心地のよさに感動。
もしかしたらそこには、「木の窓」がありませんか?
今回は、質感のよさと断熱性を兼ね備えた木製サッシの魅力に迫りたいと思います。
目次
- 1. 木製サッシとは?
- 2. 木製サッシのメリット
- 3. 木製サッシのデメリット
- 4. 防火性能 ー 木は燃えやすい?
- 5. 木製サッシの窓の種類
- 6. 木製サッシのメンテナンス
- 7. まとめ
木製サッシとは?
「アルミサッシ」「樹脂サッシ」という言葉を聞いたことがあると思います。
それぞれ、アルミが窓枠、樹脂が窓枠の建具ですね。
現在は、「アルミ複合樹脂サッシ」という室外側がアルミ+室内側が樹脂のハイブリットな製品もあります。
そして「木製サッシ」は、文字通り木が窓枠の建具です。
と言っても、ここで言う木製サッシは、おばあちゃんの家にあったような昔ながらの木枠窓とは違いますよ。
あれはあれで味わいがありますが、隙間風やガタツキ感が問題です。
そこで、木の風合いはそのままに、断熱性や防露性UPとなって開発されたのが、今回ご紹介する木製サッシです。
「戸建て住宅の断熱性能の5~7割は窓で決まる」
と言われるほど、窓をどうするかで家の断熱性能は大きく変わります。
では、具体的にどういったところが木製サッシが優れているのか、比較してみましょう。
木製サッシのメリット
木製サッシのメリットについてみていきましょう。
・断熱性能が高い
木製サッシは、アルミサッシと比べると、断熱性が飛躍的に高くなります。
窓を構成する各部材の熱伝導率を比較すると、
主に塩化ビニール樹脂でできている樹脂サッシは、アルミに比べて熱伝導率がおよそ1/1000で熱を通しにくい素材ですが、木材はさらにその上をいく熱伝導率の低さで、熱をより通しにくいことがわかります。
木製サッシは、非常に有効な断熱性をもっています。
・結露しない
外気との温度差によって窓に発生するやっかいな結露は、ほこりを吸着し、カビやダニの温床になる上、
ひどい場合は床や壁に染み出し、枠や壁内部、床下の腐食を招きます。
木製サッシは断熱性が高いため、外気温との差が室内に伝わりにくく、アルミサッシのように結露することはありません。
また、木製サッシに使われている窓ガラスもペアガラスやトリプルガラスを採用しているので、窓ガラス全体の結露も防ぐことができます。
・見た目にも温かい空間をつくる
断熱性能を良くするなら、「樹脂サッシでもいいのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、木製サッシには樹脂サッシにはない意匠性があります。
アルミサッシは強度があるので窓枠が細く、スッキリしたスリムなデザインですが、結露してしまいます。
樹脂サッシは結露しませんが、窓枠がプラスチックなので細くつくることは難しく、
窓枠が太くなってしまい、見た目という点ではどうしても野暮ったく劣ってしまいます。
その点、木製のもつ温かみと素材感を感じられる木製サッシは、インテリアとの馴染みがいいと思いませんか?
木という自然素材のため、洋風・和風問わず、部屋全体の雰囲気が優しくなります。
風景を切り取るのに、絶妙な存在感です。
・大開口窓が可能
アルミサッシ・樹脂サッシは素材の強度の問題で、掃き出し窓などの大きな窓には開口寸法の限界があり、
大手サッシメーカー系ではアルミで幅2.6m、樹脂で幅1.8mまでしか製作できません。
ですが木製サッシは、4mを超える幅の大きな窓でも可能で、かつすべてが壁に引き込まれて大開口を生み出し、すっきり内外をつなげることが可能です。
それに隠れた魅力としては、引込タイプなら「網戸」も同じように木製で同じサイズで引き込んでおけるので目障りのないスッキリしとした視界を保てます。補強枠も無く作れるのが木製網戸のメリットで、網戸を閉めていても存在が分からないような存在感だし、それになによりもしまうことが出来るので汚れにくいので掃除も楽。
・気密が良い
レバーハンドルの回転と連動して同時に2点にロックが掛かり密閉されるため、高い気密性を保ちます。
高い気密性があってはじめて冷暖房効果も損なわれず、経済的です。抜群の省エネルギー効果を発揮します。
・防音性に優れる
気密性に優れているということは遮音性能にも優れているので、音楽室・ピアノ室などの遮音用窓・ドアとしても使われています。
・エコ、環境に優しい
木製サッシは寿命が長く、メンテナンスを十分におこなえば、100年以上はもつといわれています。
また、製造段階での炭酸ガス放出量も少なく、廃棄段階で有害物質を出すこともありません。
木製サッシはエコで環境に優しい建具だといえるでしょう。
木製サッシのデメリット
寿命が長く、自然の温かみを感じられる木製サッシですが、デメリットも存在します。
・価格が高い
木製サッシの最大のデメリットは「価格が高い」という点です。
別の表現で言えば、アルミサッシが異常に安いというところですが、
木製サッシの場合はフレームの木材という素材そのもののコストに加え、加工のコストがかかるので、
アルミサッシや樹脂サッシよりも高額になってしまいます。
窓の形状やサイズ、使う素材によって異なりますが、アルミサッシの数倍は予算が必要だと考えておきましょう。
・定期的なメンテナンスが必要
メンテナンスフリーの他のサッシに比べると、長期間直射日光を浴びたり、雨に当たったりすることで、
木製サッシ表面の塗装が傷んできます。
そうなると腐食耐性が低下してしまうので、定期的に再塗装する必要があります。
反対に、メンテナンスをすれば木製サッシは永く使用できます。
木製サッシ先進国であるヨーロッパでは、100年以上経つ建物にも多く木製サッシが採用されています。
防火性能 ー 木は燃えやすい?
「金属は火に強く、木は燃えやすい」というイメージがあるかもしれません。
しかし、火災による「強さの低下の程度」は、はじめの強さの60%になるまでに、木材だと15分以上もつのに対し、鉄はわずか4分ほど、アルミニウムでは3分ほどしかもちません。
鉄やアルミニウムは火災の熱によりぐにゃりと変形するの対し、木材は表面が炭化することにより燃焼の速度が遅くなり、長時間火に耐えることができます。
また、防火認定を取得した木製サッシも販売されているので、防火地域や準防火地域であっても、安心して採用できます。
木製サッシの窓の種類
木製サッシの種類についてご紹介していきましょう。
・ヘーベシーベ窓
メリットで記述した、大開口が実現できる窓です。
ドイツ語で「hebe(ヘーベ)=上がる」「schiebe(シーベ)=引く」という意味で、
窓を開ける際はレバーハンドルをまわすと窓自体が持ち上がり、横へスムーズにスライドする窓です。
木製サッシ自体は、木の重さと複層ガラスの重さでとても重たいですが、ヘーベシーベ窓は軽々と操作できます。
また、部屋の間取りにあわせて大開口が実現でき、
片引き窓の場合はさらに窓すべてがサイドの壁へ引き込まれるため、
部屋と屋外の一体感を楽しむことができる、魅力的な窓です。
・トップスイング窓、サイドスイング窓(すべりだし窓)
窓枠に沿って窓が動くタイプです。
開けたときの窓の位置によって横すべり出し窓(トップスイング窓)と縦すべり出し窓(サイドスイング窓)の2種類のタイプがあり、換気や通風の調節に優れています。
・ドレーキップ窓
1つのハンドルレバーで「内開き」と「内倒し」の2つの開閉機能を持つ窓です。
ハンドルを上にすれば窓は内倒しとなり通風・換気することができ、ハンドルを横にすれば大きく内側に開くので窓の清掃がしやすいです。
・FIX窓
FIX窓は、開閉できない固定窓のことをいいます。 通風はできないので、主に採光のために採用されます。
・玄関ドア
玄関という家の顔になる部分にも木製玄関ドアが良い表情をもたらしてくれます。
家に帰ってきたときに目に入る木製ドアの風合いや、家とともに馴染んだ木の目や質感、手触りなどは、鋼製やアルミドアにはない無二のテイストではないかと思います。
木製サッシのメンテナンス
木製サッシの風合いを長く保つためには、「塗装」が必要です。
塗らなくても特段何かあるわけではないですが、美観の問題はあります。
そのため、大体3~5年をめどに、木材保護塗料を一度再塗装することが推奨されます。
2回目は10年目くらいに再塗装。以降は10年ごとに再塗装が目安です。
定期的な塗装時期以外でも、以下のような兆候が見られたら再塗装が必要です。
水を弾かなくなった
カビが発生している
退色が進んでいる
再塗装の他にも、窓の金具部分に劣化が見られないかどうかも定期的に点検しておきましょう。
まとめ
木製サッシの特徴をご紹介してきましたが、その良さは伝わりましたでしょうか。
木製サッシは実際に触れてみて、肌でそのぬくもりを感じることで、良さがより実感できるのではないかと思います。
開口部全てを木製サッシにするのはコスト的に難しい場合は、「ここだっ!!」というメインの開口部だけでも木製サッシにするという選択肢を持っていただくのは『アリ』ではないでしょうか。
ぜひ、いろんな窓と見比べてください。 その違いがきっとわかるはずです。