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快適なワークスペースのつくり方

2020. 10. 30家づくりガイド毛利陽子

新型コロナウイルスの感染拡大によって、働き方が大きく変わった方も多いと思います。
在宅勤務を余儀なくされ、テレワークやリモート会議、オンライン授業なども日常の一部となり、『自宅で仕事をする』という機能が住まいに新たに追加され、住まいのあり方そのものを考え直すきっかけにもなっています。

今回は、快適なワークスペースという切り口から、家づくりのポイントを考えてみたいと思います。

緑のある中庭を望む3畳ほどの書斎。チークのフローリングとブラックチェリーの無垢カウンターを造り付けて、落ち着いた自分だけの空間。リモートワークやオンライン会議などホームワークに最適で、一日中作業しても快適な暮らし。

緑のある中庭を望む3畳ほどの書斎。チークのフローリングとブラックチェリーの無垢カウンターを造り付けて、落ち着いた自分だけの空間。リモートワークやオンライン会議などホームワークに最適で、一日中作業しても快適な暮らし。

そもそも、ワークスペースってなに?

ワークスペースとは「仕事をする空間や場所」を意味します。
仕事だけでなく、趣味を楽しんだり、勉強や書き物をしたり、家事を快適に行う家事室も含めると、ワークスペースの用途はさまざまです。

そのため、ワークスペースはその家族によって求める形が異なり、自由なスタイルで住まいに取り入れられています。
快適なワークスペースを叶えるためには、自分や家族に合ったカタチを見つけることが大切です。

リビングとゆるやかにつながり、外の景色を眺めながら仕事に集中できるワークスペース。吹き抜けと回遊できる動線でさらに使いやすく開放感と独立感の絶妙なバランスを目指しました。

リビングとゆるやかにつながり、外の景色を眺めながら仕事に集中できるワークスペース。吹き抜けと回遊できる動線でさらに使いやすく開放感と独立感の絶妙なバランスを目指しました。

ワークスペースのタイプ

書斎・ワークスペースの事例を、間取り別にご紹介します。

●個室タイプ

生活空間と完全に独立した一つの部屋のタイプです。

◎ 家庭と仕事の切り替えがしやすく、最も集中しやすい環境です。
オン・オフの切り替えが明確になり、音も気になりにくく、オンライン会議をはじめ、作業に集中したい方におすすめです。
庭や景色を眺められる窓を配置したり、十分な収納を設けたりすることで、快適なワークスペースとなるでしょう。

△ 個室として独立させるため、ある程度のスペースが必要になります。限られた延べ床面積の中でどれぐらいの広さが確保できるか、間取り全体の調整が必要です。
また、ワークスペースにこもる時間が長くなると、家族で過ごす時間が減ってしまいます。個室にする場合でもLDKの近くに配置したり、室内窓やガラス扉を採用するなどで空間につながりをもたせると、家族間のコミュニケーションがとりやすくなります。

ガレージの愛車を眺めながら、室内窓でリビング空間とも視線がつながる個室タイプのワークスペース。リモートワークにも最適。

ガレージの愛車を眺めながら、室内窓でリビング空間とも視線がつながる個室タイプのワークスペース。リモートワークにも最適。

キッチンパントリーやリビングタタミコーナーと回遊できる0.75坪のワークスペース。扉で仕切れば完全個室に。家事コーナーとしても活用している。

キッチンパントリーやリビングタタミコーナーと回遊できる0.75坪のワークスペース。扉で仕切れば完全個室に。家事コーナーとしても活用している。

●半個室タイプ

LDKにつながる畳コーナーや、寝室の一角に付随した形でワークスペースを設けたタイプです。

◎ 個室の確保が難しい場合でも、省スペースでのワークスペースが実現でき、ゆるく区切られているので、家族の気配を感じながらもリモートワークの作業に集中できる、程よい「こもり感」のあるワークスペースです。

△ LDKとの距離によっては音が気になったり、寝室では明かりが寝ている家族の邪魔になったりするかもしれません。

リビング横の小上がりの畳コーナーには、掘りごたつ形式のデスクを。作業に疲れたらゴロリと横になれるのもうれしいつくりです。

リビング横の小上がりの畳コーナーには、掘りごたつ形式のデスクを。作業に疲れたらゴロリと横になれるのもうれしいつくりです。

リビングとの間にぐるりと回遊できる1枚の壁を挟んで、集中できる環境に。家族4人が並んで使える広さは、親子の時間も育みます。

リビングとの間にぐるりと回遊できる1枚の壁を挟んで、集中できる環境に。家族4人が並んで使える広さは、親子の時間も育みます。

寝室の1角のデスクコーナー。リビングから距離があるので静かな上に、日中は個室として利用できます。

寝室の1角のデスクコーナー。リビングから距離があるので静かな上に、日中は個室として利用できます。

●オープンタイプ

LDKなどの広いスペースに、カウンターやデスクを配置するタイプです。

◎ 
子供の様子を見ながら仕事ができたり、合間に家事をすることができるなど、家庭と仕事を両立しやすい配置です。
また、子供のスタディコーナーとしてや、さっと調べごとができるパソコンコーナーにもなり、家族共有のスペースとしても活用できます。

家族と同じ空間でゆったりと作業したい方に向いています。

△ 
家庭と仕事の切り替えが難しく、音が気になって集中できないこともあります。子供が帰宅後のオンライン会議や集中したい仕事には不向き。
来客時にも目につきやすい場所なので、収納スペースが少ないと物があふれて乱雑に見えがちなので、使い勝手をしっかり計画しておきましょう。

キッチン横のワークスペースは、家事と並行しながら作業ができる便利なスペース

キッチン横のワークスペースは、家事と並行しながら作業ができる便利なスペース

いわゆる「リビング学習」の形です。親は子どもが勉強している様子を見守れ、分からないことがあればすぐ教えてあげることも可能です。<br />
毎日デスクに向かう習慣がつきやすくなったり、家族間のコミュニケーションが活発になります。

いわゆる「リビング学習」の形です。親は子どもが勉強している様子を見守れ、分からないことがあればすぐ教えてあげることも可能です。
毎日デスクに向かう習慣がつきやすくなったり、家族間のコミュニケーションが活発になります。

リビング横の通り土間に配したワークスペース。床への汚れも気にせず、作業の種類を選びません。土間には床暖房を敷設して快適性UP。

リビング横の通り土間に配したワークスペース。床への汚れも気にせず、作業の種類を選びません。土間には床暖房を敷設して快適性UP。

●ニッチ(隙間)タイプ

ロフトや階段下、廊下など、普段あまり部屋としては使わないスペースを活用するタイプです。

◎  限られた空間の中で、デッドスペースになりがちな場所を有効活用し、秘密基地のようなワークスペースにできます。家族の声や生活音は聞こえますが、見えにくい配置となるため、家族と程よい距離感が生まれ、気兼ねなく仕事や趣味に取り組むことができ、終日リモートワークやZOOMなどのオンラインミーティングなどが捗ります。

△ 場所によっては防音性を高めることが難しく、収納の確保にも工夫が必要です。家の断熱気密性が高くないと暑くて使わなくなることも考えられるので、家の性能も重要です。

高さ1.4m以下のロフト空間を活用した座卓型のワークスペース

高さ1.4m以下のロフト空間を活用した座卓型のワークスペース

リビング階段の下を効率的に使った程よい籠れ感のある空間です。リビングに背を向ける形になるので、家族の気配を感じながらも作業に集中できます。

リビング階段の下を効率的に使った程よい籠れ感のある空間です。リビングに背を向ける形になるので、家族の気配を感じながらも作業に集中できます。

2階ホールのデスクコーナー。専用の空間をとることが難しい場合でも、廊下のスペースを兼ねた、1畳ほどの空間にカウンターと棚を作り付ければ、立派なワークスペースに。

2階ホールのデスクコーナー。専用の空間をとることが難しい場合でも、廊下のスペースを兼ねた、1畳ほどの空間にカウンターと棚を作り付ければ、立派なワークスペースに。

ワークスペースを快適にする5つのポイント

①目的を考える
・自分だけの集中できる空間にしたい
・家族の様子を見ながら作業がしたい
・家族みんなで使える共有スペースにしたい
・家事の合間に効率よく進めたい
など、ワークスペースに求める想いはそれぞれで、その答えによって形が変わってきます。
また、ご夫婦共働きで、おふたりとも在宅の場合、同じ空間で横並びで良いのか、それぞれが専有できるスペースを求めるかでも異なります。

誰がどのように使いたいのか、目的に合わせて「集中」と「つながり」のベストなバランスを実現できるワークスペースの在り方をご家族で話し合い、求めるプランを整理してみましょう。

②収納を充実させる
ワークスペース周りの収納を充実させておくと、仕事の書類や趣味の道具、本、文具などを、すっきりと片付けることができます。事前に収納するものをリスト化し、出し入れしやすい収納場所まで決めておけば整理整頓できるだけでなく、作業効率もアップし、無駄のない空間に仕上がります。

③照明やコンセントなど、必要な設備を整える
デスク周りでは十分な明るさを確保しておきたいですね。
さらに、
パソコンやプリンタ、その他機器類を充電したり、または趣味でミシンや工具を使用したりなど、ワークスペースではコンセントの数も多めに必要です。
また、煩雑になりがちな配線コードをすっきりと納めるためには、コンセントの位置も重要。
デスク下にコンセントを設置して、配線を足元に降ろすと机上がすっきりします。電源を頻繁に抜き差しするものについては、デスク上のコンセントが便利です。

ワークスペースで使用する機器類を想定して、あらかじめ照明計画とコンセントも考えておくこくことで、より快適な作業環境になります。

④デスクの配置と、デスクや椅子の高さ関係を考慮する
長い時間座って作業する場合、デスクの配置やデスクと椅子の高さ関係が、作業の快適性に大きく影響します。
例えば、できればデスクは窓に向かって配置することで、手元が明るく、パソコン画面に窓の外からの光が反射することもありません。
また、デスクや椅子の高さを作業する人に合わせて調整することで、良い姿勢がキープでき、身体の負担を減らすことができます。

さらに、リモートワークで注意したいのが、オンライン会議での背景の映り込みです。散らかっていたり、生活感たっぷりのお部屋が見られてしまうのは恥ずかしいですね。背景に何が映るのかも頭の片隅に置いて全体計画をされると良いかもしれません。

外部空間の充実や、スムーズな家事動線など、住まい全体を考える
在宅勤務の場合、外に出る機会が減るため、太陽の光を浴び、外の空気に触れ、四季の変化を感じることができるテラスや庭などの外部空間が、実はこれまで以上に重要になります。
運動不足の解消や気分転換のために、ストレッチやトレーニングができるスペースが欲しいという声も多く聞かれます。

さらに、自宅での食事の回数も増えることから、家事と仕事の両立が求められ、よりスムーズな家事動線も、テレワークの快適性に大きく影響するでしょう。

ワークスペースとは直接的には関係ない要素ですが、在宅ワークがより快適に行える重要なポイントです。

まとめ

このように、快適なワークスペースを考えることは、ただ単に自宅内にスペースを確保し、パソコンの通信環境を整えることだけではなく、暮らし方や家族の関係、住まい全体についても見つめ直すきっかりとなります。
仕事をする場所としてはもちろん、多目的に使える空間としておけば、使う用途も広がりますよね。
今まで以上に、家族それぞれにとっての「心地よい空間」、それを実現するための「多様性のある空間」が求められるのではないでしょうか。

さらに、テレワークの広がりは、住まいそのものだけでなく『土地選び』にまで影響しています。
働き方の多様化にともない、通勤の利便性を考える必要がなくなったため、土地選びの条件も都心部や駅近にこだわらず、郊外にまで選択エリアを広げることができるようになりました。
ライフスタイルを重視して、海や山の近くに移住し、趣味と仕事を両立できる暮らしを目指して、この鎌倉・逗子・葉山の湘南エリアで土地探しを始める方が増えています。

ライフスタイルに合った場所で、『暮らしやすく働きやすい家』を実現する住まいのカタチを考えてみてはいかがでしょうか。

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