Kitamura Kenchiku Kobo

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紀州「山長商店」の一貫生産のこだわりをこの目で確かめる

2023. 07. 07北建日記北村佳巳

家づくりの背骨の部分ともいえる構造体。北村建築工房では標準仕様のように採用している国産構造材ですが、その中でも紀州(和歌山県)の山長商店さんとは長いお付き合い。HPは「こちら」からどうぞ
その山長商店さんへ弊社も参加している「家づくり百貨」さんの工務店メンバー有志達で一泊二日で研修に行ってきました。山長材のヘビーユーザーとしては、産地の今と、最新の取り組みを見るのは勿論ですが、日頃世話になっている実務スタッフの皆さんに会えるのも大事な目的の一つでした。以前に家づくり百科さんの取材協力をさせて頂いた際の山長商店の紹介動画もわかりやすいものですので是非ご覧ください ↓

 家づくり百貨 【JAS認定の取れた木材がっ!本物の木材に拘った山長商店さんに色々聞いてみた

榎本社長はじめ多くの社員の皆さんにご準備いただき、座学から始まり、いつもやりとりしているCADオペの皆さんや各工場の全てのラインや全ての部門のスタッフさんの仕事を隅々まで見せて頂くツアーで4時間を超える濃密な行程の初日。二日目は朝から伐採現場や貯木場、樹齢100年を超える杉桧の「山長の森」を詳しくレクチャーもして頂きながら紀州の山を歩いてきたので、山長商店さんの取り組みやこだわりをご紹介させてもらいます。

田辺市の港湾部にある本社と周囲の工場群へまずはお伺い

田辺市の港湾部にある本社と周囲の工場群へまずはお伺い

植林~ 一本の苗木作りから植林、丁寧な管理体制

6000ha(東京ドーム1300個分ほど)の自社林で代々、木を植え、育て、伐採の循環システムに加えて、製材から乾燥・試験・検査を経て自らプレカット加工まで行うワンストップ体制で産地直送による高品質で美しい国産木材を我々に届けてくれています。
やせ地と言われる土が少ない紀州の山はゆっくりと成長できる土壌と、降雨量が多く上質な杉桧を生む環境を生かして、大事に育てる仕組みづくりと体制が素晴らしい。

種子は2年間苗床で育てられた後、スギ・ヒノキ、相性の良いところを見極め、1haあたりに約5000本を1本ずつ丁寧に植林します。熟練の職人でも1日にせいぜい300本がやっとというペースで、全国と比較しても植裁密度の高い植林作業が始まります。

大事なのは植えた後の 「下刈り」と「除伐・間伐」です。
地面が光を受けると、雑草などがいち早く進入して繁茂が著しいため、必ず下刈りを行います。
もし、下刈りせずにそのまま放っておくと苗木の生育が妨げられてしまうので地味ながら欠かせない作業です。
またその後定期的な「除伐・間伐」をしっかりと行うかどうかで木の成長と品質が大きく変わるのでこちらも不可欠な手入れ作業となります。

林道を登って山の頂上まで上がってきました。この見晴らしに入る山々の全てが「山長の森」です。

全て紀州山長の森の山並み。正面の斜面に綺麗に植林されているのがわかります

全て紀州山長の森の山並み。正面の斜面に綺麗に植林されているのがわかります

切り出した原木が加工を待っています。皆60年を超える丸太

切り出した原木が加工を待っています。皆60年を超える丸太

伐採~ 木こりによる樹齢60年ほど成長した材を切り出す

伐採はまさに木こりの出番。
「植えて育てる」 → 「伐採」 → 「植えて育てる」という地道な作業の繰り返しが、山を守り、自然環境の保全につながっているのです。常に危険と隣り合わせの「木こり」作業ですが、代々、親から子へと継承する職人さんたちが多いそう。後継者不足の建築業界ですから、ちょっと嬉しくなりますね。そして、木を出すための空中を渡るワイヤーも人力で山の間を渡していきます。大変な労働作業でもあります。
山間にチェンソーの音がこだましていました。

山の上で一本ずつ木こりの皆さんが切り倒しているところを下から見上げています。

山の上で一本ずつ木こりの皆さんが切り倒しているところを下から見上げています。

手入れされた杉や桧の林を歩いて木の生育状態などを確かめました。

手入れされた杉や桧の林を歩いて木の生育状態などを確かめました。

製材~ 人の目と最新の設備による確かな目利きと加工技術

、製材から乾燥・試験・検査を経て自らプレカット加工まで行うワンストップ体制。
産地直送による高品質で美しい国産木材を我々に届けてくれています。
職人が1本1本、素材の「癖」を瞬時に見極め、更に自動製材装置が高い能力を発揮し良質な材を作り上げています。

また、多くの製材工場では、排出される樹皮・端材が産業廃棄物として処理され、近年では環境問題として懸念されていますが、山長商店ではクリーンエネルギー・環境保護の観点から、製材工程で排出される樹皮・おがくず等は、バイオマス燃料として自社の熱源変換システムにより木材乾燥機の熱源として使用しています。
また、端材は木屑(チップ)として製紙工場に供給されています。

丸太を製材しているライン。最新鋭の機械と工場建屋を視察。

丸太を製材しているライン。最新鋭の機械と工場建屋を視察。

全て機械任せにはならないので、人の目と手が結果を左右するというのも製材の世界。

全て機械任せにはならないので、人の目と手が結果を左右するというのも製材の世界。

乾燥~ 数少ない高性能減圧型乾燥機を導入した乾燥技術

高温蒸気式減圧乾燥機。機内の圧力を最大0.2気圧まで減圧することにより水の沸点を下げ、従来よりも低い温度で乾燥を可能にした最新の減圧式乾燥機を導入していて、従来の高温乾燥で生じやすい内部割れも防げ、かつ内部からしっかりと乾燥させることができます。

製材で出た樹皮・おがくずなどを捨てずに利用したバイオマス燃料にて乾燥機を動かしています。

製材で出た樹皮・おがくずなどを捨てずに利用したバイオマス燃料にて乾燥機を動かしています。

構造材以外の羽柄補足材などもすべて用意できるのも特徴。それぞれ適性に合わせて乾燥方式をとっています。

構造材以外の羽柄補足材などもすべて用意できるのも特徴。それぞれ適性に合わせて乾燥方式をとっています。

試験~ 含水率測定と強度測定を行って「性能を見える化」

含水率測定ならびに強度測定を行うグレーティングマシーンにより選別された材にデータが印字されます。「木材性能の見える化」。 誠実かつ厳格な品質管理と、それを表示するようにすることで、許容応力度計算に基づき算定した強度とサイズの材を間違いのないように加工してもらうことができます。認定JAS材など性能が裏打ちされた木材を適材適所で扱えることで、より安心の構造体となるのです。

曲げの強度を示すヤング係数や含水率を印字して性能の見える化を補足材にも広げ始めています。

曲げの強度を示すヤング係数や含水率を印字して性能の見える化を補足材にも広げ始めています。

瞬時に含水率を見極める機械で選別も行っています。

瞬時に含水率を見極める機械で選別も行っています。

加工~ 熟練大工と最新鋭機を駆使して複雑な加工もこなす

最新鋭プレカット技術は羽柄材加工、合板加工はもちろん無垢材にも対応した金物工法の加工も可能にしながらも
「プレカットの基本は手加工にあり」の信念に基づき、プレカット工場に熟練の大工職人を配置。工場ラインの自動化が進んだ現在でも、品質検査に合格した材をさらに選別しています。

また、1本1本丁寧に、ムク材の性質を見極め、図面と照らし合わせてチェックを行っています。実際に家が建った際にどの個所にどの部材を使用すれば最適なのかを見極めます。一般のプレカット工場では敬遠されがちな、複雑な加工の物件であっても、熟練の大工職人の伝統の腕と最新鋭機械の両方を駆使して我々のような一品モノの家づくり工務店の要望に応えてくれています。日頃から頼もしく感じる部分です。

それと、プレカットの最新鋭の加工機とともに欠かせないのが、CADデータを作成するオペレーターの存在。紀州材の架構のプロとして我々工務店へきめ細やかな打合せやアドバイスも含めた優れたパートナーとして助けてくれています。
とくに色艶・木目が美しく、強度にも優れた山長ブランド材を最大限に活かす「表し」部分の加工には操業当初から対応していて、安定した選別にも気を配ってくれるので安心です。

熟練の大工さんたちが機械ではできない特殊な加工などを担当。北村建築工房でもいつもお世話になっています。

熟練の大工さんたちが機械ではできない特殊な加工などを担当。北村建築工房でもいつもお世話になっています。

プレカット図面だけでなく、平面図や他の図面も読み解いて適材適所の材選定を工場のスタッフの皆さんが一本ずつ選定しています。

プレカット図面だけでなく、平面図や他の図面も読み解いて適材適所の材選定を工場のスタッフの皆さんが一本ずつ選定しています。

出荷~ 綺麗で大事な材を届けてくれる産地直送システム

「表し」と呼ばれる「化粧材」などのデリケートな部材には紙巻き養生を施して万全の態勢で各建築現場に産地直送便として発送するシステム。運んでくる運送のメンバーもいつも知った顔なので、現場での搬入もスムースで高品質の材を傷つくことなく上棟へと進むことができています。

工場の見学途中、現場でいつも目にする柱への名入れを弊社のものを用意してくれていたので、せっかくなのでスタッフの浅見が刷らせてもらいました。多分1万回ぐらいは刷ってくれているだろう原版です。これ手で刷ってくれているのですがする面も決められているため、一本ずつ動かしながらという大変な作業です。

いつも目にする名入れで記念撮影。まだ頑張って活躍してもらいます!

いつも目にする名入れで記念撮影。まだ頑張って活躍してもらいます!

いつも柱に印刷されている社名 この上に「紀州山長の森」が加えられて運ばれてきています

いつも柱に印刷されている社名 この上に「紀州山長の森」が加えられて運ばれてきています

国産構造材 山長材を使う理由

二日間の視察で改めて確かなトレーサビリティとサステナブルな取り組みに触れて、山長商店の材の良さを再認識しました。
「山長材を採用する理由」は誰もがこの取り組みに触れれば納得するところかと。これからもエンドユーザーさんにはさらに自信をもってお薦めしていきたいし、一本一本手塩にかけた皆さんの想いを受け止めて大事に木の家を造り続けようと思います。

ぜひ皆さんも我が国の山間で育った杉桧を構造にして安心の木の家を造ってみませんか?

二日間にわたり関係者の皆様、お世話になりました!

日本の大事な資産でもある山林を生かし、林業に関わる人々の想いも受けて無垢の気持ちの良い家をこれからも造ろうと、この森を見上げて思いました。

日本の大事な資産でもある山林を生かし、林業に関わる人々の想いも受けて無垢の気持ちの良い家をこれからも造ろうと、この森を見上げて思いました。

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