第23回 ウッドデッキ その②
2014. 12. 23
ウッドデッキの材種
●ウェスタンレッドシダー
米杉とも言われ、日本でもガーデニングの材料や柵などで知られていて、現在では一番多く採用されている樹種。日本の桧や杉に比べて水や腐れに強く、加工性も良いので重宝されています。ただ、柔らかく強度がそれほど高いものではないことから、無塗装で2Fデッキなどに使った場合は経年劣化に注意しておく必要があります。一般的には環境や設置条件にもよりますが、無塗装の場合は10年以内に修繕や交換をする可能性も充分あると考えておくのが無難です。
●堅木
水に沈むほどの密度をもった非常に硬い木で、樹種としては別名に鉄木(アイアンウッド)と呼ばれる「ウリン」をはじめ、「イペ」・「マニルカラ」・「ジャラ」・「セランガンバツ」といった材が輸入されています。
これらは海の桟橋の板やプロムナードデッキなどにも採用されており、無塗装でも20年以上持つと言われています。
勿論、材として高価であることに加えて、非常に硬く、キリでビスの下穴を開ける時でも摩擦で煙が立つほどの堅さのため、作業に手間取ることから施工費が割高となります。その分、とても耐久性に優れているので、ランニングコストや安全面では非常に優位なため、通常は無塗装のままで採用されています。
欠点は施工してから数年は赤みがかったアク汁が雨により流れ出るので、壁や駐車場のコンクリートなどに色がつくことがあります。またセランガンバツなどは特にささくれてくるので、肌に触れるところに採用すると棘が刺さるので要注意です。(アク汁は自然と経年で薄くなっていきます。気になる場合は漂白剤を使って落とすことも可能です。)
●杉・桧・松
屋根がある場所であれば使われることもありますが、大抵風雨に晒されることが多いデッキ部分には残念ながらあまり採用は多くないようです。ただ、国産材利用としては是非お勧めしたいところですので、しっかりと保護塗料を定期的に塗りながら点検することができる施主さん向けかもしれません。また同じ桧でも、豪州桧(サイプレス)は国産桧に比べて腐りにくいとされて、堅木に比べて施工性も良いので構造的にリスクの少ない1F用のデッキ材として耳にするようになってきました。
●特殊加工木材
特殊な加圧注入方式で防腐・防虫加工を施した木材や、徹底した高熱乾燥による無薬剤加工の木材、化学反応をさせて耐朽性を高めた木材などが製品化されています。公共建築などでは数多く採用されていますが、まだ高価なため個人住宅ではなかなか採用が増えていないのが実情。
●人工樹脂木材
樹脂を木屑と混ぜて固めたものなど、劣化に強くしながら木の風合いを残そうとした特殊製品。確かに腐れのリスクは大幅に軽減されるが、やはり規格品のテイストは拭えない。
以上、現在主に使われているデッキの材種をご紹介しましたが、これらの中から材種を選ぶ時、やはり皆さんが気になるのは、腐らないか?どのくらい持つのか?メンテナンス方法は?といったところでしょうね。
特に二階デッキなどは柱や梁が腐れば全部交換しかなく、そう先の話でもないタイミングで結構な造り変えの費用がかかりますので、イニシャルコストとメンテナンスなどのランニングコスト、そして一式を取り替える時の費用など予めしっかりと把握して計画することが大切です。
総取り替えの回避や万が一の安全性を考えて、メインとなるフレーム部分を鉄骨造にするというデッキの作り方もあります。これは下を駐車場などで使いたい時など、柱を少なくしたい場合にも有効な工法とも言えます。また、物干しベランダのように1M以内の出幅のデッキの場合は家本体から持ち出した鉄製の部材に床材を組むこともあります。ただし、高価になるのが難点です。
ウッドデッキのスタイル
前号でも少し載せましたが、デッキにも大きく分けて3つのスタイルがあるので実例を交えていくつかご紹介します。
●1Fのリビング続きとした庭先ウッドデッキ
第二のリビングとして造ることが多い定番のデッキスタイル。庭とつながるように配した中間領域で広く造ることが多く、バーベキューなども楽しむためのシンクなどのしつらえも人気。
●主に物干し用ベランダとしての2Fに造るウッドデッキ
洗濯物や布団干しとして、南側などに90センチ程の奥行きで造るサービス用デッキ。柱を建てる場合と家本体から持ち出す柱なしベランダとタイプは二種類。
●駐車場の上を有効活用するための2Fテラスデッキ
都市部などで土地を有効活用するために生まれたもので、2Fリビングの場合によく採用される。すのこ状のデッキは建ペイ率に算入されないために広くつくる事例も多い。
●2Fの防水ベランダの仕上げとして置き床としてのウッドデッキ
FRP防水仕上げのままでは味気ないし、デッキを貼ることで、夏の照り返し防止や断熱にも役立ちます。また室内からの段差解消にもなり、構造に絡まないため、気軽に施工できるのもメリット。
このように限られた敷地条件の中で土地を有効に使いながら、ソトとつながった豊かな暮らしのためにデッキの役割はとても大切なアイテムとなりました。皆さんそれぞれのライフスタイルに合ったデッキスタイルを見つけて気持ちの良い家づくりに役立ててください。
( 雑誌「バイ・ザ・シー」43号 北村の連載コラム<左利きなイエづくり> より 転載)