第22回 ウッドデッキ その①
2014. 12. 22
●1階のウッドデッキ
広々としたウッドデッキで子供を自由に走り回らせたり、休日の朝には皆でご飯を食べたり、時には仲間を呼んで賑やかにBBQをしたり、珈琲片手にゆっくりと読書など・・、考えるだけで楽しい場面がたくさん浮かんできますね。
普通、ウッドデッキと聞くと1階のリビング・ダイニングの前につなげた定番と呼べるデッキスタイルが頭に浮かぶと思います。庭へと続く内外の中間領域的の役割で第二のリビングスペースとして広く使えるのが人気です。大きくすればテーブルセットなども置けて便利ですが、ただのデッキだけでは良い空間は生まれません。使われていないデッキほど寂しい景色はありませんからね(笑)
使いたくなる魅力的な空間にするためには、庭や木々のしつらえや距離感をはじめ、隣宅や道路との関係性を含めて周囲とのバランスを考えて計画することが大切です。
都市部の街中では、限られた敷地環境のなかで陽射しやプライバシーなどを求めて二階リビングとする家も増え、それとセットのように駐車場の上につくる空中デッキも人気ですね。(※)
皆さんからよく「どのくらいまで造っていいの?制限はあるの?」と聞かれますが、二階に造るウッドデッキは建築の基準法で定められている建ペイ率や容積率に算入されないので、大きさを気にせず造ることができます。勿論、床はスノコ状にして雨が落ちるように床を張ることと、屋根をかけないこと(雨を遮る形態にすると面積参入となります)
が前提ですが、たとえ家本体が法律の基準一杯であっても、付け足しのように造れるので狭い敷地を最大限に生かす有効な一手とも言えます。まあ理屈はともかく、外部空間とつながるオープンエアなデッキは気持ちのよいスペースであることは皆さんもご存じのとおりですね。
(※防火・準防火地域などでは、地域や行政によっては建築不可となる場合もあります。)
●物干しのための2階ウッドベランダ
楽しみのスペースとしてではなく、実用的なものとしてベランダタイプの物干し専用デッキがあります。デッキをつけることで掃き出しのサッシとなり、明るく風通しの良い室内にすることが出来ます。
また防水ベランダに比べて、雨仕舞いに悩まないスノコタイプのデッキは段差なく造れるのも魅力のひとつです。
さらに横長につくれば家族分の布団なども充分干せることも出来るし、出幅が少ないので一階も暗くならずに済みます。ベランダ上部の屋根の軒を深くすれば、雨に濡れづらくなるのでデッキ自体の劣化も防ぐことが出来ますし、一階の庇がわりにも役立ちますのでベランダデッキの時は特に屋根の軒を出すことをお勧めしています。
塗装について
塗料は木の表面に膜をつくるオイルペンキではなく、必ず木材に浸透して保護する塗料を用います。
通常は3~5年程度を目安に塗ることをお勧めしていますが、二階などの高所はDIYで行うにしても足場を掛けるなど仮設費もかかる場合もあり、塗装のメンテナンス費用も組み込んだ家全体の修繕積立をしっかりと考えておくことをお忘れなく。
特に床ですが、常に歩く部分では1年ぐらいで色が落ちてきますので、常に塗った時の状態を保つのは難しいのである程度の割り切りは必要かもしれません。
また、一度塗装をすると美観上からも止めることは出来なくなるので、予めデッキ全体を塗るか、もしくは塗らないまま使い続けるかを予め決めておくことをお勧めします。
無塗装の場合、当然劣化は早まることになりますが、塗装の時期に悩まされずに自然とシルバーグレー色に変わっていく風化の様をあえて楽しむということも素敵な暮らし方だと思います。
暮らしにあったデッキづくりを
デッキに使われる木の種類などは次回にご紹介したいと思いますが、材種や塗装、そしてメンテナンスと色々選択肢も多く絡み合っているので、ご自分達のタイプや維持管理のスタンスなどを見極めながら、工務店や業者さんとよく相談し合いながら決めることが大切です。
デメリットも少なからずある木のデッキですので、建材メーカーのアルミ製のベランダのほうが正直、手もかからないし腐ることもなく、さらには安価なわけで・・。ただ、折角こだわった佇まいに他の本物の素材達と同様に経年変化しないパーツが目立っているのは少し残念だなぁ、と感じてしまうのは私だけではないのではないかと(苦笑)。
勿論、安全面や維持費など現実的な話もあるので、しっかりとご自分達のスタイルと先を見据えた上で、ベストな選択をしてもらえればと思います。
さて、次回は材種や色々なデッキのタイプを事例をもとにご紹介してみたいと思いますので、お楽しみに。
( 雑誌「バイ・ザ・シー」42号 北村の連載コラム<左利きなイエづくり> より 転載)