Kitamura Kenchiku Kobo

COLUMN家づくりコラム

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第17回 回遊性のある間取り

2014. 12. 17

動線として行き止まりをつくらずに、図面上に円を描けるような動線(サーキット)があるのが「回遊性のある間取り」です。本来、回遊とは動き回ることを指しますが、一般的にぐるぐる廻れることも回遊性と使われているので、ここでもその意味で引用させて頂きます。では早速、具体的にメリットを挙げてみましょう。

ストレスのない家事動線

サーキット動線をつくる大きなメリットのひとつが、便利な家事動線を生み出しやすいという点です。時間に追われる日々のなか、短時間で多くの作業をこなすためには少ない動作や移動距離を短くすることが大切ですが、何よりもストレスを感じないようにすることを忘れてはいけません。
家事は大抵、並行して作業をこなすことが多いので、一連のスムースな流れ(スピードやリズム感)が出来るかどうかでストレスに大きく影響します。特に忙しない朝などは家じゅうを家族の皆が動き回っているわけで、ひとつの道を戻ろうとして渋滞など起したら、お互いに朝の晴れやかな気持ちは消えてしまいますね(笑)。その点、行き止まりの無いサーキットは回避ルートにもなるわけです。
ただ、注意したいのは単に廻れるようにするだけでは家事効率は良くならないということ。自分達にとってどのような部屋の関係性がベストかをまず把握しておくことが大切です。まずはご家庭ならではの日々の作業や行動パターンを拾い出すことから始めてみましょう。

ぐるぐる廻れる8の字サーキットプランと大きなダイニングキッチンを中心にぐるっと廻れるプラン

ぐるぐる廻れる8の字サーキットプランと大きなダイニングキッチンを中心にぐるっと廻れるプラン

回遊性は空間だけでなく人も伸びやかにする

廻れる動線がある家は同じ大きさであっても空間の伸びやかさや広さをより感じることができます。回遊する事で視界が様々に移り広がり、いくつもの空間がつながる意識をもつことで、より広く感じるのだと思います。
まあ、理屈はともかく、子供たちがすぐにサーキットを走り回るような家は、単純に大人でもワクワクするような空間ではないでしょうか?いくつになっても異なる空間をくぐり抜けていくような動き回る動作は誰でも楽しいですものね。
そしてもし皆さんが30坪以下のような「小さな家」にしようとするなら、小さな空間だからこそこのサーキット動線を取り入れて閉塞感の無い伸びやかな空間づくりをすべきだと思っています。家じゅうを動き廻れる小さな家って想像以上の使いやすさと面白さが詰まっているはずですから。
ただ、「籠れる (こも)れる」ような安堵する落ち着ける居場所もとても大切な要素です。回遊性とは矛盾するようですが、決して両立は難しいものではありませんので是非、隠れ家的なスパイスの効いた居場所もある楽しい間取りを目指しましょう。

広い空間に置かれた白いソファ

広い空間に置かれた白いソファ

光と風が廻る道になり、淀みのない室内に

回遊性をお勧めるもう一つの理由が、家全体が淀みのない空間になることです。
風が縦横に廻りだすと、ジメジメした北側の部屋や水回り・バックヤードなどの環境改善にも役立つだけでなく、風の道が増えることによって夏場などはエアコンをかける回数も減ると考えています。
そして風と同じく光も廻るようになるわけで、このように新鮮な空気や光が廻るようになった淀みのない室内は当然、気持ちのよい場所になっていきます。
また、今の住宅は断熱性や気密性が向上しているので、大きなひとつの空間として冷暖房を用いることで、温度ムラの少ない室内環境を生み、結果として省エネにもつながります。

廻るための通路は「スペースの無駄遣い」にはならない

ここで皆さんは回遊性の良さを分かりながらも、多分こんな疑問があるのでは?
「廻れるということは単に廊下が増えていくのでは?部屋を小さくするとか、何箇所も収納をつぶさないと実現しないはずでは?」・・と。
ですが、実はそうはならないのです。どの部屋も元々、人が通るスペースが必ずあるわけで、そこを有効に利用しつつ、ひとつの部屋に二つの開口(入口と出口)を造ることで廻れるルートを生みだしているだけなのです。
なので、動線のほとんどはむやみに無駄なスペースを使わずに成立します。
確かに扉一枚分の収納を時には減らすことあるかもしれませんが、そこは「損して得をとれ」と言われるように、むしろ減らした分を周囲にボーダレスな造作収納をしつらえるなど、以前より使いやすいものになると思いますし、なにより先に挙げた「人」・「光」・「風」の通り道に変えることで、それ以上に沢山の恩恵を受けることになるはずです。

廻るためのスペースを確保した通路

廻るためのスペースを確保した通路

このように、回遊性のメリットをお話してきましたが、間取りに取り入れるのはそう難しいものではありません。ただ、回遊性にこだわるあまりに構成を複雑にしてしまうと、かえって見た目にも落ち着かない家になってしまうので、それぞれの収納や戸の納まり方など細やかな計画も不可欠です。その点、私の場合は扉を開けていても邪魔にならず存在感を消すことのできる「引き込み戸」を標準採用にしています。開き戸のように体をかわすこともないので廻る動線には最適で見栄えもすっきりしていますし、必要な時だけ引き出して閉じたら部屋になるという感覚で好んで使っています。

この回遊動線には、部屋全体をつなげた大きなものからアイランドキッチンや階段を円心にした小さなもの、または抜け道のような扉をつけて廻れるようにしたものなど・・カタチも大きさも様々です。
「回遊」は字のごとく、「回りながら遊ぶ」。是非、今回の話を参考にして皆さんならではの「動き回って遊べるサーキット場」を楽しみながら考えてみてください。
壁にたった一枚の扉を開けることで、今まで想像もしなかった暮らしやすさがその先に待っているかもしれませんよ(笑)

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