Kitamura Kenchiku Kobo

COLUMN家づくりコラム

COLUMN

第16回 土間のある暮らし

2014. 12. 16

伝統的な日本家屋の多くに大きな土間がありました。家の顔としての玄関や、かまどなど火を焚くための厨房や農耕具・漁具の手入れなどに使う作業場として、また部屋同士をつなぐ空間としての前室のようなものなど使い道は多様なものでした。

濡れ縁や土間という間は、ご近所さんや来客などもフレキシブルに対応でき、非常に有効なコミニュケーションスペースとして住まいには不可欠な存在だったのです。生活の変遷で井戸が上水道に、かまどからコンロに取って変わり、台所が床上に移りました。

8畳ある珪藻土仕上げの玄関土間と明るい陽光が差し込むリビング

8畳ある珪藻土仕上げの玄関土間と明るい陽光が差し込むリビング

屋内作業のある家庭も減り、存在意義が薄れた土間は今や広くても一坪程度の玄関土間として、靴を脱ぐための場所と届け物や回覧板を受け取るだけの間に追いやられました。でもこんな環境が、地域や人とのつながりを希薄にさせた一つの要因になったのかもと思う今日この頃です。
「土間」は用途を限定しない柔軟さと多機能性を兼ね備えているだけでなく、ソトとナカをつなぐ中間領域としても大きな役割を持っていたわけです。その一昔前では普通だった「土間のある豊かな暮らし」に魅かれて、現在のライフスタイルを反映して、現代風土間と呼ばれるものが増えてきました。

夫婦の趣味の道具を並べて、何がしまっているのか一目でわかるようにされた収納

夫婦の趣味の道具を並べて、何がしまっているのか一目でわかるようにされた収納

ここで、現代の土間がどのように使われているか例をあげてみましょう。

・趣味の道具やバイク
・自転車、サーフボード等の置き場所や手入れをするスペースとして
・家庭菜園の道具置き場・収穫した野菜等の保管場所
・薪ストーブやペレットを設置したり、燃料のストックヤード
・子供達の遊び場・ペットの居場所
・リビングにつながる第二のリビングスペースとして
・二世帯住宅の共用ゾーンとして家族がつながる間として
・庭や部屋をつなぐ機能をもった通り土間として
・南側に配し、冬の日射エネルギーを蓄熱する間として

玄関脇にしつらえたサイクルヤードの土間には手洗いコーナーも用意されている

玄関脇にしつらえたサイクルヤードの土間には手洗いコーナーも用意されている

男の隠れ家的な書斎土間では、趣味の自転車の整備を楽しむことができる

男の隠れ家的な書斎土間では、趣味の自転車の整備を楽しむことができる

また、玄関の横に付けることの多い今大人気の「シューズクローク」も土間と言えますね。
このように様々な形で土間が見直され、現在の個性豊かな家づくりに一役買っています。
次に、この土間の仕上げ方をいくつかご紹介しておきます。

酸化黄土を混ぜたモルタル玄関土間にペレットを配置して蓄熱も期待

酸化黄土を混ぜたモルタル玄関土間にペレットを配置して蓄熱も期待

飽きのこない風合いにするためにモルタルを掻き落として仕上げた<br />

飽きのこない風合いにするためにモルタルを掻き落として仕上げた

●三和土(たたき)
日本古来の伝統的土間仕上げ。
赤土・砂利などに消石灰とにがりを混ぜ、繰り返したたくことでつくる硬い土床。
今ではこの仕上げに関わらず、三和土を土間の意味でつかう人も少なくありません。
自然の材料で出来ているので風合いは格別です。
顔料を混ぜて色も造れます。

●モルタル
普通セメントを用いたシンプルな仕上げ方で「金ゴテ」や「刷毛引き」「掻き落とし」というものが定番。
玉砂利を入れて表面だけ洗い出す「洗い出し」という和テイストの仕上げは人気だが割高な仕上げとなる。
これも顔料を混ぜて色を出すことが可能。

庭と連続したカラーモルタル土間を子供たちが賑やかに走り回っている様子

庭と連続したカラーモルタル土間を子供たちが賑やかに走り回っている様子

玉石を洗い出しした農家風玄関土間。家庭菜園の作業の一服に使ったり、四季折々に収穫した野菜が置かれている。

玉石を洗い出しした農家風玄関土間。家庭菜園の作業の一服に使ったり、四季折々に収穫した野菜が置かれている。

●タイル貼り
玄関の床では定番で、一番多く使われている素材。メンテナンス性に優れ、洋風に違和感なく合わせられます。

●珪藻土、シラス土
これらの塗り付け土は特殊な部類ともいえるが、土に近い風合いが魅力。
モルタル塗り仕上げのように施工ができるので、三和土より都市型住宅にも採用しやすい。
色も数点用意されています。

以上いくつかの仕上げを挙げましたが、これらにも当然、長所短所があります。

モルタルやタイルは素材自体の蓄熱性が高いので、自然エネルギーをうまく利用するパッシブデザインの手法の一つとして計画されており、冬場には陽当りの良い土間が蓄熱体となって長時間温かさを残し、室内を穏やかに暖めてくれます。
また土間に置いた薪ストーブやペレットストーブの熱も同様に蓄熱することで、ストーブを止めた後も同じような効果を発揮します。
逆に三和土や珪藻土などは蓄熱性が少なく、断熱性が高いので、冬の冷え込みや夏場の嫌な熱ごもりを防いでくれます。
これらの長所短所をうまく利用して間取り計画を進めることで、自然エネルギーの有効利用や省エネにも役立ち、快適に暮らすことにつながります。
限られたスペースや予算という中で如何に効果的な間取りを考えるかが課題のような今の家づくりですが、本来はなかったとしてもさほど支障が出るわけでもない「土間」という不思議な存在が、街中での暮らしを豊かに楽しくしてくれているのではないかと思うのです。
是非、皆さんもご自宅の間取りを考える際にはこの「土間」のエキスを落としてワクワクしてみてください。

玄関から庭につながる明るい通り土間はグレーゾーンとしても2世帯家族の程良い接点に

玄関から庭につながる明るい通り土間はグレーゾーンとしても2世帯家族の程良い接点に

( 雑誌「バイ・ザ・シー」36号 北村の連載コラム<左利きなイエづくり> より 転載)

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