Kitamura Kenchiku Kobo

COLUMN家づくりコラム

COLUMN

第10回 子供部屋

2014. 12. 10

洋画などでよく登場する、子供部屋で親が子供を寝かしつけるシーンを見て、自分もあんな広い部屋が欲しいな・・と思ったものでした。家づくりを考えている子育て世代の皆さんの中には、「我が子にはせめて○帖の一人部屋ぐらいは・・」と考える方も少なくないハズ。最近では子供部屋の役割に我が子を自立させるためのものと考える親が8割だそうで、立派な大人に育てるための大切な箱といったところでしょうか?

子供部屋の弊害

ただ、「我が子のために充実した環境を」という親心が、こと子供部屋においては必ずしも良い結果につながるとは限りません。ご存知の方も多いと思いますが、家族が集まるリビング・ダイニングで勉強している子供の成績の方が良いというデータをよく目にしますね。それは雑多な環境の中で勉強することで自然に集中力が養われたとも言われていますが、家族とのコミニュケーションの賜物によるのが大きいと思います。勉強する場所が静かな環境かどうかよりも、家族のかかわり方のほうが重要だということでしょう。
このように子供にとって家は、社会の最小単位である「家族」の中で、家族の愛情に包まれながら自立に向けて成長する場所でもあるのですが、引きこもりなどの現象などから分かるように、本来自立に役立つために用意されたはずの個室が多くの弊害をきたした現在、子供部屋の在り方から考える必要があると感じています。

子供のためにいかに充実した空間(部屋)を与えてあげられるかを考えるよりも、まず先に家族とどう繋がりながら暮らせるか、また家族に見守られて安らぐ居場所をつくれるかという方が重要です。その居場所さえあれば引きこもりや非行という言葉とは無縁のものとなるのではないでしょうか。勿論、家のつくり方だけで必ず良い子が育つなどという慢心はありませんが、大きく影響するのは間違いないと信じています。

さて、今回も家族にとって大切な空間づくりを考えていくわけですが、ひとつ釘を差しておきたいことが一つ・・。
それは、「これからの生活が大きく変化し続けると分かっていながら、つい目先の数年間での生活イメージで家づくりを考えがち」だということです。勿論、子供の成長と共に「かけがえのない日々」をいかに楽しく暮らすかということに集中するのも大事ですが、こと家づくりに関してだけは親が子供の犠牲になってはいけないし、子供と一緒に暮らしを楽しむためにどうすべきかを必死に考えてもらいたいと・・そして子育てが終わった後の時間も随分とあることを忘れないでもらいたいと思っています。ですから是非じっくりとシュミレーションを楽しみながら考えて頂きたいのです。
当然、可変性を考え過ぎてせっかくの夢の住まいがあまりに汎用的な箱モノになってしまっては物足りない方も多いはず(笑)。ですから是非、自分達のライフスタイルを大事にしながら、家族構成の変化にも対応できる可変性を持った計画を目指してください。

家じゅうを子供の居場所に

さて、ここからは具体的にどんな計画をしていくべきかお話ししていきましょう。
まずは唐突ですが、私はよく「子供室は寝床と多少の収納のある3帖ほどのスペースで充分」と提案しています。 まあ、初めてお話する方には「えっ!?」聞き返されてしまうのですが(苦笑)、これは今までのような6~8帖あった子供部屋の中身を詰め込むということではなく、「出せるものは部屋から出して、子供の居場所を家の中にちりばめる」という思いから話しています。元来、子供は遊びや居場所を見つける天才ですから、家族と共に暮らしを楽しむそのきっかけを用意してあげたいと思っています。
そこで私が子供部屋を計画する際でポイントにしていること三つ挙げてみます。

●部屋というよりスペースへ
部屋は一人3~4.5帖ほど。それも部屋というより個々のスペースを確保するような感じに。簡単に取り外しが出来る大工造作の高床式ベットや収納を造るなどして縦の空間を最大限に利用。ロフトがあればそのまま空間を繋いで上がれると楽しい。入口は引き戸や造作家具などで、なるべくゆるい仕切り方のオープンタイプに。
●スタディーコーナー
LDの傍やホール・吹き抜け廻りなどに設けて家族共有のマルチスペースとして今や大人気の家族の居場所です。それぞれが目的は違ってもその場に皆が集まったり、程良い距離感で見守ることが出来る居場所となります。「子はかすがい」ならぬ、ココは家族にとっての「かすがいスペース」と成り得るかもしれません。
●収納をシェアする
実は部屋の定番と言われる「6帖部屋に一間のクロゼット」という組み合わせは、思いのほかモノが置けないし収納力も高くないのです。それよりも共用スペースに家族共通の納戸やウォークインクローゼットをしっかりと設けてシェアする方が効率的に多く収納できるし、増して家族構成の変化に柔軟に対応できる。結果として小さな子供部屋でもモノが溢れず片付きやすいというメリットも生まれてくる。
<LDK内にあるマルチコーナーの実例>
勉強やゲーム、家事の手伝いや団らんなど、子供が一番長居するスペースとなっている。
リビングに並んだ畳スペースにある掘り込みカウンター。収納としての役割も持たせ、空間を有効に活用できる。

リビングに並んだ畳スペースにある掘り込みカウンター。収納としての役割も持たせ、空間を有効に活用できる。

LDKと一体化したマルチコーナーは空間の広さを家族と共有できます

LDKと一体化したマルチコーナーは空間の広さを家族と共有できます

<吹き抜け・ホールに面したスタディーコーナーの実例>
LDKからも様子が伺え、繋がりのある程よい距離感
本棚も充実させた本格的な勉強部屋で、父親の書斎と横並びに家族一緒に仕事や勉強をして絆を深めます

本棚も充実させた本格的な勉強部屋で、父親の書斎と横並びに家族一緒に仕事や勉強をして絆を深めます

明るい解放感のある家の一番良い場所に設置されたスタディーコーナー

明るい解放感のある家の一番良い場所に設置されたスタディーコーナー

<造作家具の実例>
取り外し可能な大工による造作家具
間柱を利用して造った高床式ベッド

間柱を利用して造った高床式ベッド

部屋を仕切るための置き型収納家具

部屋を仕切るための置き型収納家具

子供部屋の変化を見据えて

次に子供の成長に合わせて暮らし方の変化をシュミレーションしてみました。皆さんも是非イメージしながら考え方を比較してみてください。

●小学校低学年まで
子供部屋はひと続きという新築時のまま。おもちゃを広げて遊んだりする程度で、まだあまり使われず、子供は夫婦の寝室などで親とともに寝起きする。そのため、家族が集中する親の寝室こそ広さを確保しておくべき。
●小学校中学年
まだ親と寝ている割合も多いが、まだ仕切りのない部屋に子供達だけで寝ることも。二段ベットやロフトスペースを使うことも多い。
●小学生高学年
兄弟が同性ならば、仕切りなしでもそのままOK。異性同士では造作の本棚や収納等で視線的にも緩やかに仕切り始める。性が目覚め始める時期なので配慮も大切。
●中高生
段々としっかりとした造作仕切りが欲しくなる。試験勉強等で部屋に机が必要かも。思春期という難しい時期は狭くても適度に籠(こも)れる・一人になれるスペースが必要。
●大学・社会人
成長の中で子供部屋が一番窮屈に感じる時期。ただ、兄弟が家を出たりすると、造作家具を撤去して居残り組がもらい受けたりもする。子供部屋としては一番独立性が高くなる。
●巣立ち後
子供たちが巣立った後、リセットされてひと部屋に戻る。子供たちが家族を連れて帰郷する時の宿泊部屋として使われたり、夫婦の趣味部屋として使われる。大きい家ならば改装して二世帯同居も考えられ、二世代に渡り使われ続けるかもしれませんね。

このように先を見据えた上で、ご自分達の家づくりに落とし込んでみてください。色々お話をしてきましたが、大事なのは部屋の大きさではなく、「子供の居場所を随所につくり、家族と繋がる」ということを第一に考えてください。
そしてこのコラムを最後まで読んで頂いた方からは「子供部屋が狭いとかわいそうなので、広くとってください。その代わりに私達の寝室は小さくても良いので・・」と相談されないことを祈っています(笑)

( 雑誌「バイ・ザ・シー」30号 北村の連載コラム<左利きなイエづくり> より 転載)

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